3つ業界を経験して分かった 各業界の特徴比較

転職

はじめに

「機械設計って、この先も需要あるのかな」

そんな不安を感じたことはありませんか。

私は機械設計エンジニアとして、

自動車業界→建設機械業界→測定機業界と、

3つの業界を経験してきました。

同じ「機械設計」という職種でも業界によって

働き方も文化も、将来性の感じ方もまったく違いました。

この記事では、3業界を実際に渡り歩いた立場から、

業界の特徴や雰囲気をリアルな視点で解説します。

※ここから先の内容は、あくまで私が
それぞれ1社ずつ経験した中での個人的な印象です。
業界全体を代表するものではない点、ご了承ください。

①自動車業界で感じたこと

自動車業界は、3業界の中で

一番「設計の自由度が少ない」業界でした。

法律や他部品との関係性、既存製造設備の制約を

考慮しないといけない場面が多く、

「自分の好きなように設計する」

というより、

「決められた枠の中で最適解を探す」

という感覚に近かったです。

一方で数年ごとの自動車のモデルチェンジがあるため

過去の設計資料がきちんと整理されていて、

「正常進化している」実感がありました。

先人たちの積み重ねの上で仕事をしている感覚です。

新卒で入社した会社が自動車業界だったため

このことが当たり前と思っておりましたが

転職した際、それが当たり前ではなかったことに

後から気づきました。

コスト意識は3業界の中で一番高く、数円単位の

コストダウンにも真剣に向き合う文化がありました。

競合他社も多く、日々他社に追いつけ・追い越せ

の雰囲気があり、程よい緊張感がありました。

担当範囲は狭く深く、一つの部品や機構を

とことん突き詰めるタイプの働き方でした。

また、海外出張や海外駐在をしている設計者も多く、

グローバルに働くチャンスが比較的ある業界

だと感じました。

海外で仕事をしたいエンジニアには良い環境と思います。

②建設機械業界で感じたこと

建設機械業界は、とにかく「安全第一」の文化が

徹底されていました。

モデルチェンジのサイクルは自動車業界よりも長めで、

じっくり腰を据えて設計に向き合える環境でした。

一方で苦労したのが、

協力会社(部品を作ってもらう会社)探しです。

自動車ほどの生産数がないため、

製作を依頼してもコストが高くついたり、

断られてしまうことも多々ありました。

日本の産業の中で自動車業界が如何に影響力が強いか

を感じた時でもありました。

設計の考え方としては、「軽量化」や「コスト」よりも

「壊れないこと」が絶対的な優先事項でした。

自動車よりも過酷な環境で長時間稼働する機械であり

部品破損による作業中断は、その会社に大きな

損害を与え、自社の信頼を損ねることにも繋がります。

そのことを強く意識させられました。

実際の設計業務では、設計者自身が現場作業に入って

試作品の組み立て、評価を行うことも多くありました。

設計者自ら手を汚すことは日常的にあり、

評価に必要な資格の取得などもありました。

海外に行くのは出張程度で、自動車業界ほどグローバル

働き方ではありませんでした。

※この点は私が所属した部署特有の傾向かも知れません。

余談ではありますが…

正直なところ、少し怖そうな雰囲気の方も

一定数いる業界だと感じました。

一つ一つの部品が大きく、組み立てや評価の際、

危険と隣り合わせ、という場面が多々あります。

緩い雰囲気では事故につながるため、

そのような方が他業界に比べて多いのかもしれません。

③測定機業界で感じたこと

測定機業界は、とにかく「精度」がすべてでした。

扱う数字の単位が、それまでの2業界とは

比べものにならないくらい小さく、

最初は感覚を掴むのに苦労しました。

ほんの些細な条件の違いで測定値が変わってしまうため

自然と材料や機構に関する知識が増えていく

業界でもあります。

自動車・建設機械に比べると競合が少なく、

社内には温厚な方が多い印象でした。

コスト意識は、他の2業界ほど高くなく、

その分1人あたりの担当範囲はかなり広めでした。

モデルチェンジのサイクルが一番長く、

過去の資料が紙媒体でしか存在しない場合や、

古すぎて見つからないことも珍しくありませんでした。

技術者の平均年齢も高めで、落ち着いた雰囲気の

職場でした。

海外に関しては、建設機械業界と同じく出張程度に

とどまる印象です。

3業界を比較して見えてきたこと

3つの業界を並べてみると、

それぞれ驚くほど文化が違うことが分かります。

設計の自由度は、
自動車業界が最も制約が多く、
測定機業界が最も裁量が大きい印象でした。

コスト意識は、
自動車業界が突出して高く、
測定機業界は比較的緩やかでした。

モデルチェンジのサイクルは、
自動車業界が最も短く、
測定機業界が最も長いという、
綺麗な対比になっていました。

グローバルな働き方という面では、
自動車業界だけが海外駐在という
選択肢を持っていた点も印象的でした。

こうして比較すると、

「機械設計」とひとくくりに言っても、

業界によって求められる能力の種類が

まったく違うことが分かります。

働く「人」の雰囲気も業界でこんなに違った

設計内容だけでなく、一緒に働く人たちの雰囲気も

業界ごとにかなり違いました。

自動車業界は、良くも悪くも

「きっちりしている」人が多い印象でした。

資料も手順もきっちり管理されている分、

働く人もその文化に合わせて

かっちりしている方が多かったです。

建設機械業界は、現場に近い分、少し体育会系というか、

迫力のある方が一定数いました。

安全第一の文化の裏側には、

そういう厳しさもあったのだと思います。

測定機業界は、他業界に比べ競合が少なく

落ち着いた市場だからか、温厚な方が多い印象でした。

技術者の平均年齢も高めで、

じっくり教えてもらえる環境でもありました。

今後の将来性を一番感じるのは…

3業界を経験した中で、今後の需要の伸びを

一番感じているのは自動車業界です。

建設機械・測定機業界にも、

それぞれの分野特有の安定した需要はあります。

ただ、業界全体の変化のスピードや技術トレンド、

市場の大きさで言うと、

自動車業界が一番大きく動いている

という実感があります。

これから機械設計のキャリアを考えるうえで、

「将来性のある業界を選びたい」という視点も

大事な判断材料になると思います。

業界選びで後悔しないために大事にしたい軸

3業界を経験して分かったのは、

「どの業界が一番良いか」ではなく、

「自分が何を優先したいか」で

選ぶべきということです。

例えば、こんな軸で考えてみると

自分に合う業界が見えてくると思います。

  • 決められた枠の中で精度を高めたいか、それとも裁量を持って自由に設計したいか
  • グローバルに働くチャンスを重視するか、地に足をつけて働きたいか
  • 変化のスピードが速い環境を好むか、じっくり腰を据えたいか
  • コスト意識をシビアに問われる環境で鍛えられたいか

私自身、1社目でコスト意識と資料管理の徹底を

叩き込まれたことは、今でも大きな財産になっています。

業界を変えるときに準備しておきたいこと

業界を変える転職では、

「何が変わって、何が変わらないか」を

自分の中で整理しておくことが大切です。

変わるもの:

  • 業界特有の法規制・規格
  • 使用する材料や加工方法の知識
  • 求められる精度や検証プロセス
  • コスト意識の強さ、モデルチェンジのサイクル

変わらないもの:

  • 図面を読み解く力
  • 構造やメカニズムを考える設計思考
  • 関係部署と調整しながら形にする進め方

面接では、この「変わらない部分」を

どう自分の言葉で説明できるかが

評価されやすいポイントだと感じています。

それと、自分が経験したきた業界と、

新たに挑戦しようとしている業界のギャップを

あらかじめイメージしておくと良いと思います。

生え抜き社員には提供できない部分をアピールできると

面接では有利になります。

まとめ:機械設計は「業界を選べる」職種

この記事のポイントをまとめます。

  • 自動車業界は設計の自由度が低い分、コスト意識と資料の蓄積が徹底されている
  • 建設機械業界は「壊れないこと」が最優先で、協力会社探しに苦労することもある
  • 測定機業界は精度がすべてで、担当範囲が広く、落ち着いた社風が多い
  • 将来性の面では、変化のスピードが大きい自動車業界に一番の伸びしろを感じる
  • 機械設計は業界をまたいでも通用するポータブルスキル

もちろん、これはあくまで私がそれぞれ1社ずつ

経験した中での印象です。

同じ業界でも会社によって文化はまったく異なる

はずなので、あくまで一つの参考として

読んでいただければと思います。

「今の業界でずっとやっていけるのかな」

と不安に感じている機械設計エンジニアの方は

業界を変えるという選択肢も視野に入れてみては

いかがでしょうか。

設計というスキルそのものは、思っている以上に、

業界を越えて通用するはずです。

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